読書感想文のサポートは娘が一年生の時に始めて、三年目になりました。
回数を重ねるごとに、親が手をぬいてもいいポイントや
子どもの考えを引き出すコツが分かってきました。
実際に小学校1年生で行った方法を紹介します。
完成した作文は、クラス代表に選ばれました。
工程ごとの取り組み
息子は初めての読書感想文なので、工程を説明して一緒に予定を立てました。
家族のイベントを優先しているので、土日は計画に入れていません。
全体で3週間かかっていますが、1日あたりの取り組み時間は数十分です。
他の勉強や習い事にも影響がない負荷だと思います。
工程ごとに細かい締め切りを設定することで
1人で行う部分は子どもだけで進めることができました。
何を | いつ | 誰が |
本選び | 7/25まで (学校の図書館開放日) | 息子 |
読書・ワークシートの記入 | 7/31まで | 息子 |
深掘り | 8/1-3 | 2人 |
下書き | 8/8まで | 息子 |
修正 | 8/9 | 2人 |
清書 | 8/11まで | 息子 |
本を選ぶ
「気になった本でいいけど、課題図書だと感想文を書きやすいよ。」とアドバイスしました。
課題図書を期待していましたが、息子が感想文を書きたいと言ったのは
がまくんとかえるくんの絵本の「なくしたぼたん」です。
正直なところ、昔から親しまれている絵本なのでありきたりな感想になりそうな予感がしました…
でも、去年2年生だった娘が「おおかみと七ひきのこやぎ」の感想文を書いた時も完成できたので
この本のまま挑戦しました。
読書&ワークシートの記入
「学校から配られたワークシートの記入まで終わったら教えてね。」とお願いしました。
実際のワークシートの質問と息子の答え(太字:ワークシートの質問、細字:回答)
・本をえらんだわけ
お姉ちゃんが宿題で「おてがみ」を音読していて、がまくんとかえるくんを知っていたから。
かえるが服を着ている絵がおもしろそうだと思った。
・あらすじ
省略
・こころにのこったところ
がまくんが自分のぼたんが見つからなくて「きいきい」怒っていたのに、家に帰ってぼたんが見つかると「おやまあ」と落ち着いたところ。
・自分だったらどうするか
がまくんだったら:きいきい怒るくらいならぼたんをあきらめる。
かえるくんだったら:がまくんは足を怪我していたから、家で休ませてあげる。「おてがみ」でがまくんに手紙を書いた時みたいに、ひとりでぼたんを探しに行ったらよかった。
深掘り
娘がワークシートに書いた内容を元に質問をしました。
「マジックワード」を使って行いました。
ポイントはこの工程を数日に分けることです。
1日の負担が減るので疲れすぎないのと、考えがまとまりやすいというメリットがあります。
特に、子どもが答えをうまく言葉にできない時は
「別の日にまた話そう。それまでに考えておいてね。」と急かさずに待ってみてください。
いったん寝かせることで、次の日にはすんなり答えられることがあります。
実際に行った質問と娘の答え(太字:親の質問、細字:息子の回答)
・本をえらんだわけ:がまくんとかえるくんを知っていたから。
・この絵本(ふたりはともだち)には他にもお話があるけど、なんで「なくしたぼたん」を選んだの?
→お姉ちゃんが、「おてがみ」でかえるくんが着ている上着は「なくしたぼたん」でがまくんがあげたものだと言っていたから気になった。
・こころにのこったところ:がまくんの気持ちが「きいきい」から「おやまあ」に変化したところ
・がまくんはなんですぐに気持ちが落ち着いたと思う?
→ぼたんが見つかったから。
・ぼたんはがまくんにとって「きいきい」するくらい大事なものだったってこと?
→そんなに大事じゃないと思う。大事だったらお出かけの前に気がついたと思うし、かえるくんに上着をあげないと思う。
・じゃあなんで気持ちが変わったのかな?
→かえるくんに迷惑をかけてしまったから。
・もし、かえるくんとぼたんを探しているときに見つかったらどうなっていたと思う?
→がまくんは「きいきい」しなかったし、上着をあげなかったと思う。
・つまり「迷惑」っていうのは、ぼたんを探してもらったことじゃなくて、かえるくんといる時に「きいきい」してしまったことだと思ったんだね。
・がまくんだったら:きいきい怒るくらいならぼたんをあきらめる。
・怒ったら友達に嫌な思いをさせてしまうから、そうならないためにはどうしたらよかったか考えたんだね。
でも、ぼたんがないと困るんじゃない?
→2人とも上着のぼたんは留めてないから困らないと思う。
かえるくんにあげたみたいに、他のぼたんをつけてもよかった。
(※絵本を見返すと、確かに他の話の絵でも上着のぼたんは留まっていませんでした。)
・かえるくんだったら:がまくんを家で休ませてあげる。1人で探しに行く。
・がまくんは、足を怪我していたから疲れて「きいきい」しちゃったのかもね。
1人で探しに行っても、がまくんのぼたんかどうか分からなかったらどうする?
→がまくんの怪我が治ってから一緒に探しに行く。
下書き、修正
深掘りしたことを元に下書きを書いてもらいました。
下書きの修正にはPCを使いました。
PCへの文字入力は私が行いました。
入力した文章を息子と読みながら、どうすれば伝わりやすくなるか相談しながら修正しました。
修正箇所
・文章の順番を変えた方がいいところをカット&ペーストで移動
・わかりにくい表現を変更
・原稿用紙の文字数をオーバーしないように重要でない部分を削除
清書
下書きを修正した文章を印刷して、原稿用紙に書いてもらいました。
「先生に読んでもらうから、文字を丁寧に書こう」と伝えました。
集中力が切れないように、目標は本人と相談して1日1ページにしました。
息子からみたこの本の世界
今まで何度も読んだことのあった絵本でしたが
息子を通してこの本に向き合ったことで、新たな発見がありました。
特に、物(ぼたん)よりも心(仲良く過ごす)に重点を置いた息子の考えが印象に残りました。
「がまくんとかえるくん」の絵本は初版から半世紀が経っています。
当時は身なりを整えるという外からの見え方が今よりも重要だったと思います。
また私はこれまで、喧嘩をした後にがまくんがかえるくんに心を尽くして上着をプレゼントしたことで、2人の友情が深まった美しい話だと感じていました。
物質よりも精神という感覚や、そもそも「きいきい」しないようにするには?というアンガーマネジメントの視点が「令和っぽい!」と感じて興味深かったです。
こちらは大人になって「おてがみ」を読み返した時の感想です。
コメント